開業まであと14日|家族信託と遺言の違いとは?使い分けのヒント

相続の知恵袋

はじめに

相続や将来の備えについて調べていると、「家族信託」や「遺言書」という言葉を目にすることがあります。
どちらも「大切な財産をどう遺すか、どう管理するか」に関わる制度ですが、
目的や使い方には大きな違いがあります。

今日は、家族信託と遺言の違いをやさしく整理しながら、どちらが自分に合っているのかを考えるヒントをお届けします。


遺言とは

遺言は、「自分が亡くなった後に、財産をどう分けるか」を伝えるための書面です。

  • 財産の分け方(誰に何を遺すか)を決めておける
  • 亡くなったあとの相続手続きを円滑に進める手助けになる
  • 公正証書遺言なら確実性が高く、家族の負担も軽減できる

ただし、効力が生じるのは亡くなった後なので、生前の財産管理には使えません。


家族信託とは

一方、家族信託は、自分が元気なうちに、信頼できる家族に財産管理を託す仕組みです。

  • 判断力が衰える前に、財産の管理や活用方法を指定できる
  • 認知症などで意思表示が難しくなったあとでも、事前の契約内容に沿って管理してもらえる
  • 不動産・預貯金などを対象に「管理の道筋」を決めておける

つまり、**家族信託は「生前から活用できる財産管理の方法」**という点が遺言とは大きく違います。


どちらを選べばいい?

それぞれの特徴を比べてみましょう:

項目遺言家族信託
効力が発生する時期死後生前(契約時から)
主な目的財産の「分け方」の指定財産の「管理」の委託
利用に必要な手続き書面(公正証書等)信託契約、公正証書、登記など
認知症への備え原則対応不可判断力低下後の備えとして有効
家族との関係性一方的な指定が多い管理者(受託者)と連携が必要

自分が「いつから、どのように、誰に任せたいか」によって、
どちらが適しているかが変わってきます。
また、両方を組み合わせて使うケースも増えてきています。


まとめ

「遺す」と「託す」、そのどちらも家族を思えばこその備えです。
遺言と家族信託、それぞれの特徴を理解しながら、
自分と家族にとって一番いい形を選んでいくことが大切です。

私も、今後行政書士として活動を始める中で、
それぞれのご家庭に合った備え方を一緒に考え、お手伝いできるよう準備を進めています。

次回は、「成年後見人が必要になるとき」について、具体的な事例をもとにご紹介します。
ご家族の将来に備えるための制度を一緒に確認していきましょう。

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